Visionインタビュー:筑波大学への入職と3年間を振り返って 西村法子さん①

2021年度から広報局で活躍する、4年目の西村法子さん。筑波大学にはどのような動機で入職したのか、3年間でのどのような仕事を経験してきたのかというテーマからお話を聞きました。

――筑波大学に入職するまでのお話から頂けますでしょうか?

私は、発達心理学など教育関係を学ぶ学部の出身で、中学校・高校の教員免許も取っています。民間の就活も教育業界の企業を幅広く見ていましたし、公務員も国家公務員試験(一般職・専門職)、地方公務員試験など幅広く受験しました。教育業界に関わりたいと前々から思っていましたので、その中でもどのフィールドで仕事をしたいかということを就活の時はすごく考えていました。大学職員という選択肢が現実味を帯びてきたのが、4年生の7月頃でしょうか。

――教育に関する公務員系として受けていたうちの一つが大学で、7月くらいの時期に具体化したのですね。

そうですね。その頃から一気に現実的に考えることになりました。これまで選択肢にあった他の機関と比べて、大学職員には、教育のインフラに長期間携わることができ、また現場から遠すぎず近すぎずという印象を持ちました。教育では文部科学省が中枢にあって現場に中高など学校教員がいますが、その間にいるのが私には魅力と感じられたのです。教育実習を経験したのも大きかったかもしれません。学校では教室が最小単位で、指導案を作って科目を教えていたわけです。生徒に教えていて、みな自分の意識が教科ではなく大学受験に向いていることに気づきました。生徒が本当にやりたいことはこの先にあるのかもしれない、と思ったのです。教科の魅力を伝えていくのも重要な仕事ですが、大学に関わって、例えば学生を支援した方がより本質的なことができるのではないかと考えるようになりました。

――自分が求める仕事として取り組みたい教育の本質が、中央省庁でも中学高校でもなく、大学にあると考えたのですね。

はい、そのように考えました。大学職員の仕事は多岐にわたると思うのですが、大学の大きな軸に教育があるとして、そこにカリキュラムなど教員がやるべき仕事があって、その周辺にある学生の生活やキャリアの支援が職員の領域となりますよね。それは「隠れたカリキュラム」と呼ばれる領域だそうで、教育で言うとソフトウェアの面でしょうか、そこに関わることができるのは大学職員の魅力なのではないかと就活をしていて考えていました。

――そのあたりの感触について、実際に筑波大学に入職された後はいかがですか?

まだ現場を直接に経験しているわけではないですが、話を聞いている限りでは外れてはいなかったという感触です。

――大学と言ってもたくさんありますが、その中から筑波大学を選んだ理由は何だったのでしょうか?

個人的な話なのですが、つくば市に住んで長いんですね。幼少期にいたこともあって研究学園都市というのが身近で、小学校の頃は筑波大学の先生が出前授業に来たり、いろいろ触れる機会があって身近に感じていました。この大学の特徴は、地域社会に深く根づいているところだと思います。教育研究活動の土壌も学生の日常生活もほぼすべてここにあるので、職員にできることも多いのではないかと思いましたね。

――関東甲信越地区国立大学法人等職員採用試験の1次試験に合格してどこの大学や機関に行くかとなったときに、ゆかりのある筑波大学となったのですね。そのあたりのことは筑波大学の面接の時にも話したのですか?

志望動機はほぼその通り話しました。もしやりたいことがあれば教えてくださいと質問されたときに、当時はあまり大学職員のイメージが鮮明でなく、一番なじみのあった国際関係の部署に行きたいと答えました。筑波大学が持つ強みの一つですし、高校までに海外へ行く機会や留学生との交流の経験があったので、そのように答えたわけです。もちろん「どこに配属になるかはわからないよ」とは言われましたが。

――それで入職して配属されたのが人事課で、国際室でも学生と関わるエリア支援室でもなかったわけですね(笑)。

そうですね(笑)。いわゆる法人部門なので、大学特有の仕事というわけではありませんが、大学にどんな構成員がいるかを俯瞰的に知ることができたので、良いスタートだったと思います。人事課で1年半労務関係の業務に携わり、一昨年の10月に広報室(現在の広報局)に異動しました。

――人事課から広報局へというのは、希望通りの異動だったのですか?

年に一度意向調書を提出するのですが、その時は広報のことは特に触れていませんでした。どういう点を考慮されたのかまでは残念ながらわからないですね。

――教員の場合は全く無関係の仕事になるということはあまりないですし、何かプロジェクトに呼ばれる時もどういう理由かはそれなりにわかります。しかし、職員の場合はわかりにくいところもおそらくあって、思いがけない配属先になってしまう「配属ガチャ」を気にすることもあるのか、自分の適性や大学への貢献可能性を考えて配属されていると思えるのか、制度上仕方ないと納得するのか、どうなのでしょう?

私としては、今回の異動は年度途中なのもあって正直驚いたのですが、いろいろ思い返してみると、文章を書いたり写真を撮ったりすることが好きなのもあり、かなり向いている仕事なのではないかと思っています。他の人にとっては寝耳に水ということもあるかもしれません。知り合いの大学職員の話を聞いて思うのは、予期せぬ異動を受け身でなく前向きに消化していける人が多いという印象はあります。

――そうすると、希望でないところに配属されてうまくいかなくてどうしようという心配は取り越し苦労になることもある、ということでしょうか。

多かれ少なかれ苦労はするでしょうけど、この仕事をしたいから大学に入職するのではなくて、大学というフィールドで働きたいというのが根底にある人だと、どういう部署に配属になっても意義を見いだせるのではと思います。

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